雪国にあう植栽と管理の提案
ここ山形は季節の移り変りがはっきりしており、四季折々バラエティ-に富んだ楽しみ方が体験できる素敵な場所です。
雪解けが終わり雪囲いをはずすと、待ち兼ねた様に植物達が一斉に芽吹き初め、やがてさわやかな新緑が街を包み込み色々な花が咲き乱れ私達の心を癒してくれます。
がしかし、そこに至るまでの過程は決してたやすいものではありません。
何故なら当地は雪が降り積る為に何も手を施さなければその重みに耐えかねて枝折れが発生し、せっかく大事に育ててきた樹々が無残な形になってしまいます。
そもそもガーデニング雑誌で見つけたお気に入りのページの庭の実現には少々無理があります。
それらのページに出て来るガーデニングは暖かい所のもので、雪の事など全く意識する事無く造られています。
植えられている樹木も花もその多くが山形では寒すぎて育たなかったりするのです。
では、どうすれば自分の思い描いたイメージに近づける事ができるのか、維持管理作業を楽にできないのか、その事をテーマに当社は次の点に工夫しました。
1.雑木を主体とした植栽
ツゲ・キャラ・アカマツ等姿物として美しい樹木はそれゆえに、樹形を維持する為毎年刈り込みや剪定作業が必要でした。
またその枝に雪が積り、枝折れの原因となる為雪吊りと言う作業が不可欠でした。
手間のかかるこれらの修景木の植栽は、極力抑えナツツバキ、ヤマボウシ、ハナミズキ、ヤマモミジ等の雑木を主体の植栽に切り替えます。
《メリット》
・剪定作業も『スカシ』と呼ばれる剪定の技術でおおまかな枝抜きをするだけで2~3年に1度の剪定で維持できます。
・枝ぶりがうすく維持されているので、雪が降ってもあまり積もる事が少なく、その都度樹木をさすって雪をはらってもらうか、簡単に縄でしばってもらうだけで大掛かりな雪囲い作業は省けます。
2.低木の寄せ植えから宿根草、多年草を多様した植栽へ
ヒラドツツジ、サツキツツジ等の低木の寄せ植えは、花が咲き終わったらすぐ刈り込んで次の年の花つきを良くしなければならず、毎年職人の手を必要としていました。
また、雪にも弱く放っておけば雪につぶされてしまうので、雪棚等の雪囲いを必要としていました。
これはこれで美しいのですが、維持管理の省力化という点では劣ります。
これを宿根草、多年草の植栽へと切り替えます。
《メリット》
花が咲き終わったらその花殻のみを切り取ればいいので職人の手を借りる事なく、自分で作業する事が出来ます。
グランドカバー(地被植物)だけでも20~30種類の植栽が可能です。 (近年、雪国でも生育可能な植物がたくさん出まわっています。)
花の咲いている時期も4月~11月までと低木のそれに比べて長く1つの種類で4ヶ月位咲きつづけるものもあります。
草丈も高い物は1m位の物から地を這う物まで多種で、それらを組み合わせる事で高低さがうまれ、庭に奥行き感がでます。
花色も白系、ピンク系、赤系、紫系、黄色系と多種で、好きな花色同士のグラデーションが選べます。
たとえ雪に1mも埋もれたとしても、雪解けと共に芽吹いてくるので、雪囲いの必要は全くありません。
和の庭であれば苔の代わりにリュウノヒゲやヤブコウジ等で地面を覆えばそれだけで絵になりますが、ホタルブクロ、イカリソウ、ダイモンジソウ、ニリンソウ等の山野草でアクセントをつけてあげれば、いっそう引き立ちます。
洋風のガーデニングであれば、ダイアンサス、ライオンロックやアルメリア、マリティマ、へメロカリス、ステラ、デオロなど花色が華やかな物を植えたり、スジギボウシやフィリヤブラン等葉に斑入りの物を植えれば様々な色合いの明るいイメージの庭が実現します。
3.雑草の発生を抑える
何がやっかいと言って、庭のあちこちに出てくる雑草の草むしり程大変なものはありません。手抜除草が面倒だと言って庭に除草剤をまいてしまったら周りの必要な物まで全て枯れてしまいます。
それでは一体どうすればいいのか。
私共は、植栽面に樹皮等で出来たマルチ材の敷き詰めをお薦めします。それ以外の部分は、防草シートを全面に張る事をお薦めします。
《メリット》
太陽光を遮断する事で、雑草の発芽を抑える事が出来ます。
マルチ材は、樹皮で出来ている為、保水性、保温性の向上がみられます。
マルチ材は、樹皮が黒っぽい為土が隠れて修景的にも庭が引き締まります。
防草シートは、光は通しにくいが水は通すので植物に対しても悪影響はありません。
そのままでは、太陽光により劣化してしまうので、自然石の玉砂利(φ8~25mm程度)を厚さ5cm位敷けば、劣化も防げ見栄えもぐんと良くなります。
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